AI開発 保守契約前の欠陥担保確認ガイド
AI受託開発で保守契約を始める前に、調達・法務・PMが確認する欠陥担保(契約不適合責任)の範囲、期間、証跡、費用の見方を整理します。

結論
AI受託開発で保守契約に移る前は、欠陥担保(契約不適合責任)の範囲と期間を確認し、保守と担保の境界を明確にすることが重要です。調達、法務、開発PMが、瑕疵担保・契約不適合の条項、検収報告、不具合一覧を証跡として整理すると、「保守費用で直すのか担保で直すのか」で揉める事態を防げます。
この記事は、検収後すぐに保守契約を結びがちな発注者向けに、担保責任の範囲を先に確認する手順をまとめます。確認しないと、本来は無償で是正されるべき欠陥まで保守費用で対応させられることがあります。
欠陥担保の事前確認とは何を決めることか
欠陥担保の事前確認とは、納品物に検収後に見つかった不具合(契約不適合)について、ベンダーが無償で是正する責任の範囲と期間を、保守契約開始前に整理することです。保守契約と担保責任は別物であり、境界を決めておくことで費用負担の判断ができます。
確認の前に、検収の完了時期、検収時点で確認した範囲、既知の不具合一覧を整理します。検収記録が曖昧だと、後から見つかった不具合が担保対象か判断できません。
担保確認項目の対応表
保守契約前に、次の項目を確認します。表は契約に合わせて調整します。
| 確認項目 | 内容 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 担保の範囲 | どの不具合が無償是正の対象か | 仕様不適合か、性能未達も含むか |
| 担保期間 | 是正責任が続く期間 | 起算点(検収時か納品時か) |
| 通知の手順 | 不具合を通知する方法・期限 | 発見後の通知期限、記録方法 |
| 保守との境界 | 保守と担保のどちらで扱うか | 追加要望・改善は保守、欠陥は担保 |
| AI特有の扱い | 精度低下や誤りの扱い | 検収基準との関係、再学習の要否 |
表で整理するだけでなく、AI特有の論点(利用開始後の精度低下が担保対象か、データ変化による性能変動をどう扱うか)を文章で確認します。AIは入力データの変化で挙動が変わるため、「欠陥」と「環境変化」の切り分けを事前に合意しておくことが重要です。
保守契約への移行の進め方
保守契約は、担保期間や範囲との関係を確認してから結びます。担保期間中に見つかった契約不適合は担保で無償是正し、それ以外の改善・追加は保守で対応する、といった切り分けを契約で明記します。既知の不具合は一覧化し、保守開始時点の状態を記録します。担保期間の終了時期と、終了後の対応(保守の範囲拡大や別途費用)も確認します。
データ・記録・ログの扱い
不具合の是正では、再現条件、原因、対応内容を記録します。AIの誤りは、入力データと条件によって再現性が変わるため、テストデータと条件を残します。検収報告、不具合一覧、是正記録を版管理し、担保対象か保守対象かの判断根拠を追える状態にします。
費用と契約の見方
欠陥担保を確認せずに保守契約を結ぶと、無償是正されるべき欠陥まで保守費用で対応し、二重に費用を払うことになります。保守費用の内訳(監視、問い合わせ対応、軽微改善、再評価)と、担保で無償になる範囲を分けて見積もります。担保期間や責任の範囲は契約で交渉できるため、リスクに応じて設定します。
実務チェックリスト
- 検収の完了時期と確認範囲を記録したか
- 担保の範囲(仕様不適合・性能未達)を確認したか
- 担保期間と起算点を確認したか
- 不具合通知の手順と期限を確認したか
- 保守と担保の境界を契約で明記したか
- AI特有の精度低下・環境変化の扱いを合意したか
- 既知の不具合を一覧化して記録したか
- 保守費用の内訳と担保で無償になる範囲を分けたか
チェックリストは、検収時、保守契約前、担保期間終了前に確認します。担保と保守の境界を記録すると、是正費用の判断がぶれません。
図解で確認するポイント
この記事の画像は、保守契約前に欠陥担保の範囲と期間を確認し、保守との境界を切り分ける流れを、複数のカードと接続線で表しています。文字や宣伝を入れず、どの項目を確認するかを視覚的に確認できるようにしています。
AllAI内での次の行動
まず AI発注診断 で検収と運用の想定を整理してください。関連する実務は AI開発 受入不合格の是正期限ポリシー と AI開発 本番KPI未達時の契約見直し会議 で確認できます。開発会社の比較は AI開発の発注支援、既製サービスの選択肢は AI/SaaS比較 も合わせて確認します。
FAQ
Q. 欠陥担保と保守契約はどう違いますか? A. 担保は契約不適合を無償で是正する責任、保守は運用や改善を有償で行う契約です。境界を決めないと、欠陥を保守費用で対応させられます。
Q. 担保期間はどのくらいが一般的ですか? A. 契約で定めますが、起算点(検収時か納品時か)によって実質の期間が変わります。期間と起算点をセットで確認します。
Q. AIの精度が下がったら担保で直してもらえますか? A. 欠陥か環境変化かで扱いが分かれます。検収基準との関係と、データ変化による変動の扱いを事前に合意しておく必要があります。
Q. 既知の不具合はどう扱いますか? A. 保守開始時点で一覧化し、担保で是正するものと保守で対応するものを分けて記録します。
出典と確認日
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報システム・モデル取引・契約書」: https://www.ipa.go.jp/digital/model/index.html (確認日: 2026-07-10)
- 法務省「民法(債権関係)改正に関する情報」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html (確認日: 2026-07-10)
- 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」: https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html (確認日: 2026-07-10)
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